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2月に日本山岳会主催講演会「登山に役立つ膝のトラブルの対処と予防」が開催され、参加してきました。
 
Twitterに連投して参加報告を載せていましたが、こちらのブログにもまとめておきたいと思います。
 
講師は聖マリアンナ医科大学整形外科講座の小林哲士先生でした。
先生は今発売の山と溪谷3月号の膝痛特集に登場しているとのことです。
 
 
膝専門の先生の講演だったので、当たり前ですが筋肉や関節の具体的な名称を明示して解説されていたので非常に分かりやすかったです。
登山雑誌などではざっくり「膝痛」と一括りにしてしまうところを、痛みがでる部位の解説から膝関節や筋肉の構造を解説されていました。
 
 
膝のどこが痛む?
 
私も以前から解説してますが、膝蓋骨の上下内外どこが痛いのか、痛みの部位を特定しないと対処法が分かりません。
 
小林先生の分類では
 1膝蓋下脂肪体(膝蓋骨下部)
 2鵞足(がそく・膝蓋骨内側)
 3腸脛靭帯付着部(膝蓋骨外側)
 4大腿四頭筋腱(膝蓋骨上部)
 
2-4は筋肉と腱の痛み、1は軟部組織の痛みが原因となります。
 
 
トラブルは関節内?関節外?
 
小林先生によると先ほど触れた筋肉・腱・軟部組織の痛みは「関節外」のトラブル。
誰にでも起こりうる疲労系の痛みと捉えればいいのかなと思います。
 
これに対して、関節内の「軟骨、骨、靭帯、半月板」のトラブルは登山者自身ではどうにも出来ない怪我なので、病院に行くしかないとのことです。
これは明らかに疲労というより怪我ですね。
放置しても改善する可能性は低く、早く病院に行って早く治した方がいいと言えるでしょう。
 
 
膝痛予防のためのトレーニング
 
小林先生によると、膝関節周囲筋と股関節周囲筋の筋力強化と柔軟性を向上させましょうとお話しされていました。
また、正しい姿勢で歩いて膝関節への負担を減らすためには膝関節周囲筋だけじゃなく、股関節周囲筋(大殿筋・腸腰筋)を使うこともお話されていました。
 
これは私が普段から「腰を使って歩く」と話していることと同じことだと感じました。
 
 
筋トレの注意点
 
筋トレの負荷強度と1セットの負荷回数の話もされていました。
これには会場から質問もありましたが、なかなか先生も個別的なアドバイスをするのは難しいかなと思いました。
専属トレーナーではないですからね。
 
小林先生のお話で私が注目したのは「翌日筋肉痛になるようなら、1セットの回数を減らす方がいい。筋肉痛になると筋肉が硬化しやすい」とのこと。
この点が重要に感じました。
 
私自身も筋トレをし過ぎて筋肉が硬くなることを避けたいので、筋トレよりもストレッチを推奨しています。
皆さんも筋トレをする場合は、「筋肉痛が出ない程度の負荷」を目安にするといいと思います。
 
 
膝サポーターやストックの効果
 
サポーターは痛みを軽減する効果、ストックには着地時に負荷を減らす効果があるというお話しをされていました。
 
ここで会場から、ストックの利用法について質問が出てました。
要約すると「穂高でストックを使用した登山者が滑落して亡くなっている」と。
 
岩場でのストック使用は本来はNG行為だと思いますが、岩場のストック使用に限らず、登山では道具をどのように利用するかはケースバイケースですから、第三者が判断出来るものではないと思います。
 
ストックに依存し過ぎず、状況によっては危険性を予測して「ストックを使わない」判断が、個々の登山者に求められるのは当然だと思います。
 
さらに付け加えると、穂高の岩場でもストックに頼らなければならない登山者は、そもそも実力不足なのでストックを使っていなくても結局は滑落する可能性は高いのではないかと思います。
 
ストック使用については昨年既に記事を書いているので、良かったらこちらも参考にして下さい。
 
 
ストック使用時は前のめり転倒に注意する
 
また、質疑応答の中で小林先生が「ストックを利用すると前重心になる」と仰っていました。
ここは私が以前から指摘していることと共通してました。
 
ストックに依存して歩いていると腕の力を頼りにし過ぎて姿勢が悪くなり、前屈みの姿勢になりがちです。
段差の大きな場所や浮石に乗った時など、前のめりに転倒しやすくなるのです。
 
そして前屈み姿勢自体が、下山時のスピード制御をしにくい姿勢ですので、余計に腰(お尻)を引く形になり、体が「く」の字に曲がり、姿勢が悪い悪循環から抜け出せなくなります。
 
ストックを使うと着地時の負担が軽減出来るのは事実なので使用することが悪いのではありません。
ただ、使用時に姿勢が崩れやすく、そこにリスクがあるのも事実なので、この点を忘れてはならないと思います。
 
 
まとめ【今回の講演を聞いて】
 
私自身は会場で「登山者の体温や体液バランスの違いによって、痛みの出やすさに差があるのか?」という質問をさせて頂きました。
 
体温ははやりウォーミングアップをしたぐらいの体温が一番痛みが出にくいのではないかという回答でしたが、体液バランスについては分からないということでした。
 
私自身は登山者の水分補給と体液バランスの状態で痛みに差が出るのではないかと思っています。
 
 
また、「膝痛」というテーマでも、膝専門の医師、ストレッチ・リハビリなどスポーツ障害の専門家(整体士やトレーナー)、そして登山ガイドなど歩行技術指導者など、分野が違うと保有している情報に違いがあります。
 
私自身も多分野の方の膝痛の話を聞くのが最も参考になります。
逆に登山を専門とする私たちが情報を共有していく必要性もあるかと思います。
 
これら膝痛関連情報を共有・整理していくことで、今まで以上に膝痛のメカニズムが解明されていくといいなと思います。
 
ちなみにこの講演を聞いた後に、もう一つ膝痛に関する発見があったのですが、そのことについてはまた後日触れたいと思います。