悪天候の時に、登山を中止するかどうかの判断って難しいですよね。
登山者1人1人によって体力や経験値が違いますから、もちろん判断の基準も違ってきます。

おそらく、登山経験が少ない方ほど判断に悩むと思いますので、判断に役立つ基礎知識についてちょっとだけお教えしますね。

  • 街の天気予報よりも、天気図を読もう

    と、言っても天気図を読むための知識は一朝一夕には身につきません。
    なので、「天気図読めないよ!」という方は、天気図についてはいったん横に置いといて、重要なことはテレビやインターネットなどで流れている普通の天気予報はあくまでも「街の天気予報」なので、山ではあまり役立たないことを覚えておいて下さい。

    特に夏は山は雲が掛かりやすくなりますし、街よりも山の方が天候悪化が早く訪れることがあります。
    なので、北アルプスの登るときに松本の、富士山に登るのに御殿場の天気予報を見ても、あくまでも参考程度にしかなりません。

     
  • 山の天気情報を調べる

【てんきとくらす】http://tenkura.n-kishou.co.jp/tk/

このサイトのように、「行楽地の天気」で登山口や山頂の天気予報を見ることが出来ます。
行楽地やレジャー先の天気予報情報を配信しているサイトは他にもあります。
たとえば、御殿場口5合目や富士山頂の天気予報を見た方が、御殿場の街の予報を見るよりはいいのではないかと思います。

しかし、私自身のこれまでの経験から、これらの予報もあくまでも参考程度で、そこまで信用していません。
なぜなら、山岳地帯の気象予測はとても難しく、その土地特有の風や地形の影響などを理解できている必要があるからで。
上記のような「行楽地の天気」はあくまで、利用者の利便性のために各社が提供しているだけで、土地特有の気象変化を考慮して予報は出していないと思います。

やはり、晴れ、曇り、雨といった単純な情報ではなく、登山では風向きと雨雲を把握することが重要です。
ということで以上二点は前置きのような話でした(^.^)

実際の登山の実施・中止の判断や、登山中の状況把握には以下の三つの項目が大いに有効です。
 

  • 雨雲レーダー・降水情報を調べる

私自身がチェックしているサイトは3つあります。

  1. 【ウェザーニュース社の雨雲レーダーch】http://weathernews.jp/
    (携帯電話からのアクセスは有料会員登録が必要です)
    5時間後までの雨雲の様子をチェックできます。 
     
  2. 【気象庁レーダーナウキャスト】http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/(無料)
    1時間後までの降水、雷、竜巻の情報を確認できます。
     
  3. 【国土交通省 XRAIN雨量情報】http://www.river.go.jp/xbandradar/(無料)
    これまでの気象予報用の広域レーダーよりも、より早く、より詳細な観測を目指して「 XバンドMPレーダー」を活用した雨量情報です。
    天気予報ではありませんが、局所的な集中豪雨など降雨状況を正確に把握するのに適しています。

現状を把握したい時、1時間先などの状況を予測したい時など、私は用途によって使い分けています。

どのサイトも、防水スマートフォンにブックマークがされているので、雨の登山中にスマホで上記サイトを見ながら歩く、なんてこともあります。 

上記の情報をうまく使いこなすことが出来れば、
激しい雨をもたらす雨雲が通過する30分間を把握して、その間山小屋の中に入って、長めの休憩をして雨をやり過ごす
なんてことも出来ます。

もちろん、100%正確に気象予測は出来ませんから、外れることもあります。
大事なのは、気象に関する知識を養いながら、経験を重ねて情報収集と判断能力を高めていくことだと思います。 

  • 風の状況を調べる  

    富士山、アルプスなど3000mを越える山々など、森林限界を超える山域では、風の状況が登山を大きく左右します。
    そこで、以下のサイトで上空の風速情報を確認しましょう。

    【気象庁ウィンドプロファイラ(上空の風)】http://www.jma.go.jp/jp/windpro/(無料)

    富士山のような独立峰は地形の影響が少ないので、ほぼこの値に近い風をうけることになります。
    私自身、夏の富士登山ガイドの際は、河口湖上空の3kmと4kmの「風速」を確認し、登山時の参考にしています。
    風速10mを越えていると注意が必要、15mを越えていると困難、20mを越えると行動不能、といった具合でしょうか。

    といっても、実際には同じ登山道でも場所によって風の影響が異なるので、このデータだけでなく、現場の状況も含めて判断し、場合によってはコースやスケジュールを変更して対応しています。

     
  • 山小屋に電話して情報を確認する

    実はこれが一番手っとり早い手段です。
    現在は、大半の山小屋は現地へ直接電話することが出来ます。

    宿泊予定の山小屋や、目的地最寄りの山小屋に電話して、手短に天気の現状を聞きましょう。
    ただし、山小屋のスタッフさんも天気予報士じゃないですし、業務で忙しいですから、「明日晴れると思いますか?」みたいな野暮な質問はやめましょうね(^_^;)

    私の実体験としては、登山口に向かう車中で豪雨に遭遇し、登山中止をしようとして、山小屋にキャンセルの電話をしたら「こっちは晴れてますよー。下界は雨見たいですねー。」なんてことがありました。

    市街地、登山口、山の上でそれぞれ別の天気であることが普通で、また常に天気は移り変わります。
    結局のところ、その場に行ってみないことには、本当のことは分かりません。
    なので、現地に直接電話することは、とても有効な手段だと思います。